横浜国立大学(Yokohama National University)の高須悠介(Yusuke Takasu)のホームページ

Seminar

学部ゼミナール

髙須ゼミナールでは,「企業価値」をキーワードに,現実の企業を公表データに基づいて調査・分析し,現代経済の根幹である株式会社や株式市場に関する理解を深め,あわよくばなにかデータに裏付けられた新しい事実を明らかにしてもらいたいと考えています。

2年次

2年生の春学期にゼミ生募集を行い,夏休み前に一度顔合わせを行います。夏休みの読書課題(例年,『知的複眼思考法』,『財務3表一体理解法』の2冊)を提示しますのでレポートなどは課しませんが今後のためにも一読してもらいます。2年の秋学期からゼミナールは本格始動し,財務分析や統計分析の本を輪読します。輪読はレポーター1名,データ分析担当1名がそれぞれ担当範囲をまとめてプレゼンします。読む本は事前には決まっていませんが,基本的に財務会計および企業分析,統計分析に関する入門テキストを使用しています(2022年度は『ビジネススクールで教える経営分析』と『経営学のための統計学・データ分析』を使用しました)。この輪読を通して,3年次以降での研究の基礎固めを行います。

3年次

3年次では春学期・秋学期を通じて,グループ研究を行ってもらいます。グループごとに仮説を構築し,その仮説の正否を確かめるためにデータを収集し,統計的な仮説検証を行います。ここでいう仮説は『AならばB』という関係性を予測するものですが,学術的にそれほど厳密なものである必要はなく,財務会計,企業財務,企業価値などに関係する仮説であり,データ検証可能な仮説であればOKです。2019年度には,「本社移転の発表は株価を上昇させるか?」,「有能な経営者の退任発表は株価を減少させるか?」,「不祥事の種類に応じて株価反応に違いはあるか?」という仮説の検証を行いました。2019年度は全ての仮説が株価反応に関するものですが,株価反応に関する仮説でなければならないわけではありません。

合宿風景

仮説検証にあたってはデータの収集・分析が必要不可欠となります。そのため,学内で利用可能なデータベース(日経NEEDS,Rifinitiv Eikon,eolなど数十万~数百万円するデータベースを利用可能です)とexcelを最大限に活用してもらいます。分析にあたっては多くの場合でexcelの行数でいうと1,000行近く(ときには10,000行超)になるファイルを扱うことになり,マウスやスクロールバーで全て操作していては日が暮れてしまいます。excelのショートカットコマンドやexcel関数を駆使しながら,効率的な作業が求められます。これらの作業は慣れるまでは大変かもしれませんが,操作方法の説明などはゼミナールを通じて提供しており,多くのゼミ生がこのスキルを身に付けています。

データ分析模擬

例年,グループ研究については通常のゼミの時間とは別に報告機会を設けています。2019年度は7月上旬に一橋大学商学部の中野ゼミ(@横浜国立大学みなとみらいキャンパス),10月上旬にゼミ合宿(@山中湖),12月上旬に中央大学の山田ゼミ,東京理科大学の大沼ゼミ(@中央大学八王子キャンパス)との3大学合同ゼミを行いました。コロナ禍の影響もあり今後も同様の予定になるとは限りませんが,可能な限り他大学との合同ゼミを2回および夏のゼミ合宿といった3回の報告機会を設定したいと考えています。

みなとみらいキャンパス夜景

4年次

4年次では春学期・秋学期を通して卒業論文の執筆を進めてもらいます。やることとしては3年次と同様のものとなりますが,基本的に個人ワークとなり,仮説構築・データ収集・検証・考察を一人で実行します。また3年次の経験を活かして,研究としての質も前年のそれよりも当然ながら向上してもらいます。4年次には対外的な報告機会はありませんが,夏合宿において3年生に向けた簡単なプレゼンをしてもらうのと同時に3年生の研究に対するフィードバックを期待します。

卒業式

これまで執筆された卒業論文の例としては,「スポーツとスポンサー企業の企業価値との関連性」,「えるぼし認定と認定企業の株価の関係性」,「リース会計基準変更によるリース会社への影響」,「マネジメント・アプローチ導入による多角化ディスカウントへの影響」,「取締役会における社外取締役比率と企業業績の関連性」,「テレビCMと株価の関係性」などがあります。また執筆された卒業論文のなかでも特に質の高い論文(質の決定要因は分析者の努力だけでなくテーマ選びが非常に重要)は経営学部の横浜経営学会賞に積極的に応募しています。幸いなことに応募を始めた2018年度から,2018年度1編,2019年度2編と優秀賞を受賞する学生が出ています。

受賞者

今後の展望

現状,3年次のグループ研究の出口戦略が固まっていません。最終的に論文の形に仕上げ,4年生と同じように年度末に学内の横浜経営学会賞に応募することは考えられます。しかし,3年生はあと1年間は学生でいられます。これをチャンスと捉え,積極的に活かしていきたいと考えています。具体的には3年次のグループ研究の質に依りますが,論文を英訳し,4年生の秋に開催される国際学会への参加を模索していきたいと考えています。学内での選考の過程を経ますが学生向けの出張助成もあり,実現可能性は十分にあると思います。ハードルは確かに高いですが,チャレンジしてみたい学生はぜひ高須ゼミで一緒に研究をしましょう!

海外学会

大学院・研究生

博士前期,博士後期,研究生の全てのカテゴリーで学生を募集しています。なお,研究生の受験希望者を中心として毎年多くのメールを頂きますが,明らかに不特定多数に送付しているメール(なぜ私を志望しているのかが明確に説明されていない)などには対応いたしません。